組合総合特別補償制度(特別補償)

「特別補償」とは

「特別補償」とは、ダイビング事故による責任が最終的に確定しない段階において、ダイビング事業者の責任のあるなしにかかわらず、所定の弔慰金ないしは見舞金を「特別補償金」として制度的に被災者に対して支払うシステムのことです。

そして、将来的に事業者に賠償責任があると認められた場合には、特別補償金の分についてはすでに支払済みであるとし、賠償責任金額からその額を縮減して支払うこととします。これを「賠償金の縮減規定」といって、特別補償の規定の中に含まれているものです。これによって、被災者の救済を図ると同時に、賠償責任保険の保険料を事業者が負担可能な適正な範囲にコントロールすることを可能とすることができるのです。

したがって、当初から、特別補償は賠償責任負担あるいはそのための保険の補助システムと考えられます。傷害保険の一種としてではなく、賠償責任保険と一体のものだと考えていただきたいと思います。

 

傷害保険との違いは

傷害保険は傷害の事実に基づいて被保険者に対して保険金を支払います。たとえダイビング事業者が利用者のために保険料を負担していたとしても、あくまでも保険金は被保険者・利用者が受け取るべきものであり、事業者が見舞金として本人に、あるいは弔慰金として遺族に渡すことはできません。実質的には、そういった意味のものとして了解してもらえるケースもあります。しかし、極端な場合は、あらかじめ告知しておかなければ本人に了解なく被保険者としたことの責任を追及される可能性さえあります。

また、予め告知した場合は、傷害保険への加入を利用者は認識しているわけですから、保険金はもらって当然と思うのが普通です。ダイビング事業者のサービスに対して感謝することはあっても、賠償責任の問題とはまったく別だと考えられても仕方ありません。さらに、誤解をする利用者に至っては、「それなりの責任があるからお金を出したのだろう」と考える人もあり、これでは何のために大きな金額・保険料を支払っているのかわからなくなってしまいます。
それに対して、組合の特別補償は、ダイビング事業者から利用者に対して支払うための特別補償金を準備するものです。利用者が直接組合や保険会社に請求しても、事業者を経由しなければ支払うことはありません。実際には、事業者の指示に従って利用者の口座に振り込むことになりますが、あくまでもダイビング事業者が自分のお金を利用者に対してお支払いするということには違いありません。

「結局同じ金額が利用者に支払われるのだから同じことじゃないか」という人がいるかもしれません。しかし、本来自分が受け取って当然の保険金をもらうのと、事業者から特別補償金を受け取るのとでは、意味するところが大きく異なります。
また、特別補償金の支払いに際しては、将来事業者に損害賠償責任が発生した場合には、特別補償金の金額についてはすでに支払ったものとすることに利用者側の了解をとります。これは、賠償責任の縮減規定と呼ばれるものです。これによって、長期的に賠償責任の保険料が適切なレベルにコントロールされると考えられるのです。

 

本制度の位置づけ

本制度は、事業者の賠償責任を補償するシステムの一環として機能するようにデザインされています。したがって、「組合賠責」等の適切な賠償責任保険とセットで加入しなければ、十分な機能を発揮できません。

事業者の直接の監督下であって、何らかの管理責任が問われる可能性がある状況を前提としています。したがって、まったく管理責任がない状況においては、本制度は適用されないということをあらかじめ了解しておいてください。

直接の監督下とは「組合賠責」の現場従業員として登録されているものが、現場において直接管理・監督に当たっている状況を言います。たとえば、登録された現場従業員が

監督者として現場にひとりもいないということでは、直接の監督下ということにはなりません。この点をくれぐれも注意するようにしてください。

また、補償金等は、組合員事業者が被災者に対して支払う、あるいは被災者の代わりに負担する費用に対して支払われるものです。他の傷害保険のように保険金として被保険者に直接支払われるものではありませんので、その点の意義を理解してください。

 

補償内容

  • 死亡補償金2000万円
  • 重度後遺障害補償金2000万円まで
  • 傷害入院見舞金10万円まで
  • 治療費用実費補償金10万円まで
  • 事故処理費用補償金100万円まで
  • PADI特約(全件について自動付帯となっています)
    本制度と同等の特別補償金を支払う制度(現行具体的にはPADIジャパンの見舞金制度)の適用を受けた場合には、以下の通りとします。
  • 死亡補償金1000万円
  • 重度後遺障害補償金1000万円まで
  • 傷害入院見舞金10万円まで
  • 治療費用実費補償金10万円まで
  • 事故処理費用補償金 50万円まで

いずれの補償金も賠償責任保険の適用を優先するものとし、それに至るまでの事案において補償金を支払うものとします。また、いずれの補償金も賠償責任保険の支払に際しては、金額縮減の対象となります。

「傷害入院見舞金」は、傷害を理由として医療機関に入院した場合に、入院の日数によって1万円から10万円までの見舞金が支払われます。これまでの最高額が5万円でしたが、長期入院の程度を勘案し、倍額の10万円にすることとしました。これは、以下の治療費用実費補償金とのバランスを考えることも変更の理由となっています。

「治療費用実費補償金」は、傷害を理由として日本国内における健康保険適用に相当する治療を受けた場合の本人負担分で、他の保険・制度等により担保されない部分を補償します。今回補償金額が10万円に減額されましたが、これは責任があまりないにもかかわらず限度額いっぱいを支払う極めて特殊なケースが発生し、このままでは加入者の公平を欠く可能性があるための措置です。これまで、ほぼすべての事例においては、この減額による影響はないことを確認しております。したがって、今後も通常の治療費用を支払うケースにおいて、加入者の不利になることはいっさいありません。

なお、「傷害入院見舞金」と「治療費用実費補償金」とは、重複して適用することはありません。

「事故処理費用補償金」は、死亡ないしは後遺障害補償金の支払の対象となる事故において、実際に事故処理のために支払い、それが本制度により必要と認められ、賠償責任保険で担保されない諸費用を補償します。

補償金(保険金)が支払われない場合の一例              

  • 補償対象となる者の故意、または危険な行為による場合
  • 事業者の直接の監督下とは見做せない場合(登録現場従業員がいない場合)
  • 疾病あるいは他の傷害・身体障害を原因とする場合
  • 補償対象が登録のない現場従業員の場合
  • 労災保険の適用の対象となるべき事故(労災事故)の場合
  • 一般的なダイビング事業者の事業中でない場合  等

制度負担金

基本単価 利用者1名1日あたり 250
最低制度負担金 現場従業員1名あたり 年間 25,000円
これは、今回から、管理している現場従業員に対する同等の補償を提供することにより新たに設けられた最低基準です。年間にのべ100人日の利用者を管理する計算になり、通常の営業活動を行なっている事業者においては、ほとんどクリアするはずです。1名あたり25,000円に満たない場合は差額をいただきます。

初期預り金 1事業者あたり  50,000円
万一制度負担金の支払いが遅れた場合でも、すぐに制度の適用が無効にならないための手当です。だからといって、支払いが遅れてもよいということではありませんから、御注意を!

PADIストア特約負担金                  

現場従業員全員がPADIジャパンのメンバーで、PADI見舞金制度の適用を受けることを前提としている場合に限り、以下の負担金額とします。

基本単価 利用者1名1日あたり 175円
最低制度負担金 現場従業員1名あたり 年間 17,500円

(詳細は組合事務局にご確認ください。)

補償対象者

事業者のサービス提供中、管理責任範囲における利用者、およびそれを管理している現場従業員全員(原則組合賠責の登録者で事前登録された者に限る)が補償対象となります。

サービス提供中、管理責任範囲というのは、いわゆる集合から解散までの現場従業員による直接の監督下を意味します。直接の監督下にある、自動車による送迎、ボート搭乗中、宿泊中、休憩中等を含みます。

また、管理している現場従業員に対しても利用者と同じだけの補償が提供されます。これは、同じにケガをして、不幸にして同じに亡くなった場合に利用者にだけ補償金が支払われ、従業員には支払われないということのないようにということです。もちろん労災保険とは別途に適用されますが、治療費用については労災保険を優先的に利用することとします(したがって理論上は適用外ということになります)。

また、これは、従業員なのかお客様なのか判然としない状況で活動するスタッフが現実に相当存在するということに対応するためのものです。たとえば、ショップのスタッフでもあるダイブマスターがインストラクターになるためのトレーニングを受けていたとか、研修生・実習生をスタッフとして受け入れている場合とか、皆さんにも結構思い当たる節があるはずです。その場合に、どちらの立場であると判断されても、少なくとも利用者と同等の補償が受けられるようにと考えられたものです。

本制度の従業員の事前登録に関しては、組合賠責の現場従業員登録により自動的に行なわれます。ただし原則として日本国籍を有する者に限りますので、この点はご注意ください。また、外国国籍の利用者を管理することが多い場合も事前にご相談ください。

月例報告と負担金納入(自主精算)

月例報告翌月 5日まで
負担金納入翌月10日まで
(金融機関への振込による)

原則として、各月末に月例報告用紙をファクシミリでお送りしますので、その月の1日から月末までの各日別の利用者人数を記入して、翌月5日までに報告していただきます。補償対象となる利用者と現場従業員数を全員カウントして記入してください。(従業員数は参考までに記入していただくものです。安全管理のための人数比の確認等に使用します。)

利用者の名簿(氏名、住所、連絡先等、本人が確認できて事後的に連絡がとれるための情報)は、組合から請求があればいつでも提示できるように準備しておいてください。重大な事故が発生したときには、過去にさかのぼって保険会社の調査員がチェックする可能性があります。実際と報告の内容が異なった場合には、もしも意図的と認められる場合は、補償金は、減額ではなく、いっさい支払われません。

また、報告の利用者のべ人数に基本単価(通常250円)を乗じた金額を、毎月10日までに組合に着金するように自主的にお振込みいただきます。初期預り金の範囲で一時的にお立替しますが、入金が遅れると補償が受けられなくなる場合がありますのでご注意ください。利用者人数の月例報告もないと、お立替の処理もできませんので、くれぐれも忘れないようにお願いします。

補償期間

本制度の補償期間は、毎年1月1日から1年間(組合事業年度と同じ)となっています。また、「組合賠責」の前提条件となっている場合は、組合賠責が、対外的な信用保証上、中途での解約は認められないために、本制度についても同じく中途解約が認められないことになります。この点は、くれぐれも加入するときに十分にご注意ください。2ヶ月前までに解約のお申し出がない限り、翌年以降は自動的に更新の扱いとさせていただきます。

実績による返戻金について

現行の支払状況が続く限りにおいては、実績による返戻金の支払は望めそうにありません。むしろ逆に制度負担金の大幅な引き上げを必要とする状況ですので、その点をご理解いただきますようお願い致します。

いわゆる健康保険の自己負担分を「治療費用実費補償金」として支払っている本制度において、負担額が3割にまで引き上げられ、従来の家族の自己負担金を勘案した場合でも、従来のほぼ2倍以上の支出を必要とすることになっております。また、今年度も入院を要する事故が相次ぎ比較的高額の治療費負担が続いたため、前年までの積立金を一部取り崩しての補償金給付となっております。